観光ガイドの重要性―「ガイドの想い」と「想われる地域」の好循環 | ミテモ株式会社

観光ガイドの重要性―「ガイドの想い」と「想われる地域」の好循環

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本レポートはセミナーの概要とポイントを抜粋したものです。
高付加価値旅行の観光事業や地域ガイドの育成についての事例はアーカイブにてご覧いただけます。
本セミナーは「観光産業におけるガイドの育成と実際のガイド現場」について、実践例を交えながらミテモ株式会社 代表取締役澤田哲也と、プロデューサー竹田敦より紹介させていただきます。

観光産業における高付加価値化に向けて

澤田:2019年10月と比較して、2023年10月の訪日旅行者数が上回り、いよいよインバウンド観光市場は回復から再成長へと転換しました。以前より観光産業において「量から質への転換」を進めていく必要性は指摘されていましたが、多種多様な方が日本に旅行に来る機会が増える中、「旅行客を受け入れる側の人材育成の方法」がますます重要になっています。

ミテモでは観光人材の育成について、昨年から専門家を招いてセミナーなども行っています。それぞれアーカイブが残っていますので興味のある方はそちらも併せてご覧ください。

高付加価値旅行の観光事業やガイド育成の実践例

澤田:さて、観光人材育成について、今回は「地域ガイド(ローカルガイド)」「スペシャリストガイド」と呼ばれるような、地域に根付いた観光人材に焦点をあててお話いたします。

ミテモでは自社事業として、「LOCAL CRAFT JAPAN」という全国9地域の産地で伝統工芸をインバウンド向け高付加価値旅行の旅行先にしていくプロジェクトを展開しています。
私自身も、その中の一つ、吉野林業と伝統構法のツアーでは、ツアーの企画・運営、ガイド育成にも携わっています。

高付加価値旅行についてのプロジェクトの詳細はアーカイブにて視聴することができますので、ぜひご覧ください。

では、高付加価値旅行者にしっかりと感動していただき、さらに再度の来訪を促すような地域の方々との関係性を構築していくために必要なものとは何でしょうか。
ミテモでは、以下の3つの要素を深堀していくことが必要だと考えています。

①STORY

世界中に様々な体験がある中で、その中でもこの体験に参加する意味とは何か?
また、その体験にまつわる唯一無二のストーリーとは何か?

②AUTHENTIC

体験そのものや空間、人々を観光用に誂えるのではなく、ローカルな人々との対話や体験を取り入れることで、旅行者に地域の「本物・本質」を味わっていただくことの大切さ。

③CAST

STORYとAUTHENTICをつなぐ、観光人材・観光ガイドと呼ばれる存在。

この3つのどの要素も大切ではありますが、今日のセミナーでは特に最後のCASTの要素に着目しています。外部から来た観光客の方々に、地域が持つローカルなストーリーや人々と円滑に出会っていただくためには、観光ガイドの力が不可欠です。

しかし、実際のところは「高付加価値旅行を作りましょう」というと①や②に注力してしまい、観光ガイドの育成が後回しになりがちなのではないでしょうか?

団体旅行から個人の高付加価値旅行へ

澤田:地域ガイドの役割も大きく変化しています。従来の役割は、団体旅行客を対象とした短時間・廉価な案内プログラムが主流でした。しかし、観光産業が成熟する中で、個人の旅行客が自分たちにあった体験を求めるようになり、長時間・高単価なツアーへの需要が高まってきました。

これら高付加価値な旅行者に対応するためには、地域ガイドの総合的なスキルアップが求められてきます。特に、高付加価値旅行に対応できるガイドに求められるスキルとして、9つの要素があると考えています。
詳細はアーカイブにてスライドや実際の事例を交えながら説明していますので、ぜひそちらをご覧ください。

ガイド育成を考えるにあたって

澤田:地域によって観光資源の状況は異なるため 、実際どのようなガイドスキルが必要となってくるのかは状況に応じて目指すものが変わってくるかと思います。
ただ、これからのガイド育成について考えた場合、3つの共通項があります。

一つ目は、「誰を育てるのか」という点です。
例えば、すでに地元のボランティアガイドの方がいらっしゃってそこからそのガイドの方を育てていくのか、それとも一から観光ガイドとして育成していくのか、いずれにしても一朝一夕で行うことはできません。特にボランティアでガイドをするのと、プロとしてお金をもらってガイドをするのとではビジネスとしてまったく違うものになります。

二つ目は、「どの程度の価格帯のツアーガイドを育てるのか」という点です。
当然ですがツアーの価格帯によって求められるガイドの対応やレベルは変わってきます。ツアーの価格帯に応じた対応スキルを定義し、育成することが求められます。

三つ目は、「いつまでに何人育てるのか」という点です。
この点を考えるにあたっては、まずそもそも観光客をどれくらい受け入れるのかのキャパシティの目標を明確にする必要があります。また、人材育成のために外部からガイドを受け入れていた場合、どれくらいの併用期間で進めていくのかも重要です。長期の目標に向けて、初年度はどこまで育てていくのかを綿密に計画していく必要があります。

まずは以上の3つの論点を念頭において、ガイド育成について考えていただくのがよいかと考えています。

実際の経験からみるガイド現場の「リアル」

竹田:後半は、私の現場でのガイド育成の事例をもとに話をします。私自身、国内外を旅しながらプロガイドとして活動していました。その中で、「誰よりもその土地の自然や文化を体感することで、多くの人に地域の魅力をシェアしていきたい」という想いを大切にして活動していました。

「魅力的」なガイドの特徴

竹田:年間数千人以上をガイドし、また、三百人以上の観光ガイドを見てきて感じるのは、「地域への想い」が強いガイドほど魅力的であるということです。地域の人々は、「生き方」の追及として地場産業に従事していらっしゃいます。観光ガイドはその追及の延長に位置する存在であるといえるでしょう。
また、地域の人々に寄り添うのみならず、観光客に対する「経験への期待値コントロール」が非常にうまい、というところも魅力的なガイドの要素の一つであると感じています。そのためには、ガイド当日だけではなくその前段階での話の上手さや、自分の特性に合わせて磨き上げられたエンターテイメント性、また顧客に合わせた柔軟さなどを持っていることなどの要素も必要です。最終的には観光ガイドを通して「地域の自然・文化・人」を好きになっていただいて再訪問したくなるような状況を作ることが非常に重要だと思っています。

地域に根付いた観光ガイドの人材育成のために

竹田:「地域への想い」が強い観光ガイドは、必ずしもその地域に生まれている必要はありません。外部から移住してきて、地域に根付いたガイドになる場合もあります。
いずれにしても、「労働環境の整備」と「移住したくなる地域づくり」は必須です。持続的に労働できる環境、例えば給与や休暇、生活環境などを明確にしていくことは、他の職業と同じく重要なこととなります。また、地域と人の出会いは偶然であることも多く、そのわずかなきっかけでこの地域に移住して地域振興のために働きたい、と思えるような「移住したくなる地域づくり」をしていく、また見せていくことが取り組みとして大切です。
また、観光ガイドになってからも「キャリアの描き方」をバックアップしたり、「ガイドの魅力を体現している人材」や「探求を応援する環境」を整備したりする受け皿が地域側には求められています。

アーカイブでは具体的な事例として、日本最南端のライフセービングクラブを設立したときの背景から採用方法、育成、そして成果について詳しく話しています。また、高付加価値の観光コンテンツとしてのキャンプコンテンツも事例として取りあげています。
それらを踏まえて、観光ガイド育成についての成功点と課題についてもアーカイブにて詳しく説明していますので、ぜひアーカイブをご覧ください。

「想い」「想われる地域」を作るために

ミテモでは、北海道や丹波篠山市などで観光ガイド育成に取り組んできました。地域と観光客をつなぐ観光人材の育成に悩まれている方は、一度ぜひミテモまでご相談いただければと思います。

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